みなさま、ハヨンガー!
チョン・ミギョン著『ハヨンガ ハーイ、おこづかいデートしない?』(アジュマブックス)を読んだ方からよくいただく感想のひとつが、
「主人公たちが”女ことば”を使わないところがイイ!」でした。
…ありがとうございます。
それこそ翻訳者が悩みに悩みんだ結果だったのです。
(詳しくは本書の翻訳者にして漫画家にしてこの記事の執筆者、大島史子がラブピースクラブに連載中の女権主義マンガ『主人なんていませんッ!』第89回、90回等をご覧ください!)
「やめろ」か、「やめて」か?
『主人なんていませんッ!』第89回「女言葉は日本語コルセット」より
日本語のフィクションとしては女性が「やめて!」と叫ぶのが自然だったかもしれませんが、あえて原文韓国語の「그만해!」 のとおり、命令形にしました。(ちなみに韓国語でも、お願いのニュアンスが入る「やめて」という表現があります。)
さらに「ヤメテ」という日本語は日本産のAVで頻出するため、韓国では「ポルノ用語」と捉えられているという現実も…
同じ二人称が「あなた」と「お前」に?
『主人なんていませんッ!』第90回「ジェンダーは性別による階級じゃっ!」より
親しい者同士の二人称は韓国語で 너(ノ) 。一般的に「きみ」や「お前」と訳されますが、話者が女性となるや「あんた」さらには「あなた」とまで訳されてしまいます。(「あなた」にあたる韓国語は別にあります。)
友人関係のジスとシヒョンを互いにどう呼ばせるか悩みました。「あなた」「お前」という訳も可能でしたがもちろん採用せず、小説としての”自然さ”と対等な雰囲気を演出しようと「あんた」「きみ」に落ち着きました。
ちなみにかつて交際していたヒジュンとチョルジンは、どちらも互いに「きみ」と呼ばせています。訳者なりにキャラクターを分析して選んだ二人称でした。
だわ、なのよ
しかしフィクション内の女ことばといえばやはり「~だわ」、「~なのよ」。読者の方から「そういうわざとらしい女ことばが出てこなくてよかった!」とうれしい感想をいただきましたが、実は…「だわ、なのよ」は出てきます(!)
読者の方が見落としたのは、その用法がそれこそ自然だったからではと都合よく解釈しております。実生活の中でも、「だわ、なのよ」と話しても不自然に聞こえない、実際に多用している方々がいらっしゃいませんか…?
そう、アジュマ(おばさん)です♡
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